わたモテで最も出現回数の多い舞台は学校でしょう。各所について描かれているためそろそろ全体像がわかるのではないかと思い、検証してみました。
谷川ニコ先生（作画）は学生ではないと思いますが、学校内部の描写、特に文化祭回の描写には自らの学生時代の記憶だけで描いたとは思えない細かい描写が多々見られます。特に同じモノが描かれる場合、その形状が常に一貫していることは注目スべきです。
(左)3巻中表紙
(右)喪26 モテないし部活作る 11ページ目
やはり実在の学校をモデルに描かれているからだと思います。恐らく、実際の文化祭に入場した時の写真を元に描いているとか・・。この学校を特定しようにも我々は内部を知ることは出来ませんから、外観に頼るほかありません。
わたモテには「舞台が変化するときにその建造物の一部と空が描かれる」という決まった表現があります。学校の外観もそのような方法で多々猫写されていますが、校舎全体が描画されることはまずありません。どの角度からでも全く同じ外観で、表裏を知る手がかりが一切猫写されていないのです。外観の描写は内部に比べてかなり適当といえるでしょう。
外観には描写のないベランダも、内部からでは描かれていることがあります。既に喪１の5ページ目でベランダへの出入口のようなものが窓際にあったり、喪21の5ページ目、文化祭回でゆうちゃんからメールの着信が届いたコマにうっすらと描かれていたり、2年生では喪42の扉絵でネモがベランダに出て黒板消しをはたいていますので、実際には存在するベランダを外観は省いて描写しているようです。
そもそも、校舎の配置はどんなものなのでしょうか？既刊５巻から分かる範囲でまとめたのが次の図です。
このように大きな棟が４つ（仮にA~D棟とした）と、体育館がある質素な作りです（あと、どこかにテニスコートが有ります）。話のネタになりそうな中庭には一度も言及がありません。
そもそも私立高校にしてはあまりに校舎の構造や設備がプアで、モデルがあるとしても私立ではまず無いでしょう。このような校舎は公立の中高校はなら多々見られます。実際私の母校もこのようなH型でした。
また、描かれてはいるものの、想像で付け足したのではないかと疑われる点もあります。
- 右側の三角屋根の建物。文化祭回の扉絵１度しか出てこず、あいさつ運動回や卒業式回では常に茂みとして描かれている。
- プールも扉絵の１度だけのうえ、敷地をはみ出す形になる。
この構造から内部を導き出してみることにします。
- もこっちが放課後の音を聞いていた(喪42の最終ページ)のはD棟端っこの外付け階段。また喪42の扉絵でネモが黒板消しをはたいているはるか遠くに防球ネットが見えることから、2年の教室はB・D棟のようだ。
- 教室は原則として南向きに作られる。つまり、B・D棟の窓がグラウンド側を向いていれば、A・C棟の窓も同じ方角の中庭・広場側を向いていることになる。
- だが、自己紹介回の1年前の回想シーンでは、外に桜が舞う窓際の席に座っているコマ、その桜が道路側の樹木のように描かれている。つまり1年はA棟かC棟で、窓が道路側を向いていて矛盾する。
これについて、喪49でも自らの写真を撮ろうと窓際でポーズを決めているときにベランダや防球ネットが遠くに見られることから、B・D棟の窓がグラウンド側を向いている説は正しいとします。自己紹介回は私の勘違いとし、図の上が南です。
あまり手がかりがないので、この際だから「影の向き」も考えて見ちゃいましょう。この作品で影は滅多に描かれませんが、喪42夕暮れの音を聞く話で「意味もなく残って談笑する生徒」の影が左向きに書かれています。時刻的には影は東に伸びるはずですが、この絵では正午のごとく北に伸びていることになります。・・・まぁそこまで忠実に描かれているとは思えませんのでこれは冗談です（そもそも作画ミスに突っ込みを入れる企画でもないですので）。ただ、モデルが特定されている喪26の扉絵の樹木の影は正解の方向で描かれているようですね。
あと、学校の近辺が描かれていると思われるカットが全体で3コマほど有り、これも特徴的なので後日加筆予定です。
出場回数の割に手がかりが少ない学校ですが、情報があればご提供下さい。